大熊(町)(読み)おおくま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大熊(町)」の意味・わかりやすい解説

大熊(町)
おおくま

福島県中東部の太平洋岸、双葉郡(ふたばぐん)にある町。1954年(昭和29)大野、熊町(くままち)の2村が合併して成立。西は阿武隈(あぶくま)高地、東は海岸平地からなる。国道6号(旧陸前(りくぜん)浜街道)とJR常磐(じょうばん)線が東部を南北に通じる。また、国道288号が北西部を横断する。相馬藩(そうまはん)と平藩(たいらはん)の境界の地で、相馬藩の開拓地以来、農業中心の生活を展開してきたが、1966年から東京電力海岸段丘を利用して原子力発電所(福島第一原子力発電所)を建設し、景観が一変した。面積78.71平方キロメートル、人口847(2020)。

原田 榮]

〔東日本大震災〕2011年(平成23)の東日本大震災では死者137人、住家全壊272棟・半壊2075棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。あわせて東京電力福島第一原子力発電所の原発事故による放射能汚染によって避難指示区域(のちに避難指示解除準備区域・居住制限区域・帰還困難区域再編)となった。2019年(令和1)7月1日時点では、帰還困難区域以外の地区の避難指示は解除されているが、応急仮設住宅に入居している64人と廃炉作業にあたる約700人の居住者を除き、4695世帯・1万0323人(うち県外避難者は1219世帯・2478人)が避難生活を送っている(大熊町「避難状況」)。町役場も村内大川原に連絡事務所を置いていたが、同地に新たに建設した本庁舎で2019年5月、業務を再開した。またいわき市会津若松市に設けた出張所、郡山市の中通り連絡事務所でも引き続き業務にあたっている。

[編集部 2019年10月18日]

『『大熊町史』全4巻(1981~1985・大熊町)』


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