大気汚染測定局(読み)たいきおせんそくていきょく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大気汚染測定局」の意味・わかりやすい解説

大気汚染測定局
たいきおせんそくていきょく

人や環境に影響を及ぼす大気汚染物質質量濃度測定するための施設。大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、地方自治体によって設置される。正式名称は大気汚染常時監視測定局。2011年(平成23)時点で全国に1911局があり、これらの大気汚染測定局は5種類に大別される。(1)一般環境大気測定局(一般局) 地域全体の大気汚染状況の把握のために設置されているほか、局所的に汚染が出現する地域に緊急時の措置に対処するために設置。(2)自動車排出ガス測定局(自排局) 人が活動する地域への自動車排出ガスの影響を測定するために交差点や道路端などに設置。(3)気象局 大気汚染物質ではなく、気象項目の測定を実施。(4)立体局 高層タワーなどに設置され、高さごとの大気の状態を測定。(5)バックグラウンド局 汚染物質が少ない山間部などの地域で、大気汚染の影響を調べるために設置。

 各測定局が測定している大気汚染物質は局ごとに異なるが、おもにSO2(二酸化硫黄)、NO(一酸化窒素)、NO2(二酸化窒素)、Ox光化学オキシダント)、NMHC非メタン炭化水素)、CH4メタン)、THC(全炭化水素)、SPM浮遊粒子状物質)、PM2.5微小粒子状物質)、SP(浮遊粉塵(ふんじん))などである。測定されたデータは環境基準に適合しているかを把握、確認するために用いられ、全国の光化学オキシダントの注意報や警報発令と解除、さまざまな緊急時の措置や広域的な大気汚染防止対策を講じるための資料となっている。常時監視(24時間測定)で得られたこれらの測定値は、環境省大気汚染物質広域監視システム(Atmospheric Environmental Regional Observation System:AEROS)によりインターネット上で24時間公開され、測定値のほとんどは1時間ごとに更新されている。

 2013年より中国で発生したPM2.5の飛来が問題となっているが、日本では2009年9月に環境基準が設けられ、大気汚染測定局の測定対象物質には2010年に追加された。2011年時点でPM2.5を測定できる局数は156局と少なく、全国的な大気汚染を評価するための測定体制の整備が急がれている。

[編集部]

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