壺井村(読み)つぼいむら

日本歴史地名大系 「壺井村」の解説

壺井村
つぼいむら

[現在地名]羽曳野市壺井

石川右岸飛鳥あすか村の西に位置する。弥生中期の壺井遺跡、丸山まるやま古墳御旅山おたびやま古墳のある先進地域。古代の石川郡大国おおくに(和名抄)の地。河内石川源氏発祥の地として知られ、源満仲の三男頼信が一一世紀中葉河内守として赴任、のち当地に居館を構えたのに始まると伝える。壺井の地名は、今も壺井八幡宮石段前にある清泉壺井によると伝える。前九年の役の際、源頼義・義家父子の率いる軍は大旱魃に苦しみ、伊勢大神宮に祈ったところ即座に清水が湧き出、のどを潤した軍勢によって勝利を収めた。そこで凱旋のおり清水を壺に入れて持ち帰り、当地に井戸をうがって沈め記念したという(河内鑑名所記)。近くの二上にじよう山産の讃岐石を切石にして組合せた方形の箱形井筒の形式や、その内壁一面に刻まれている如来坐像の様式からその造られた年代は頼義の代であったことはほぼ間違いなく、河内源氏がここに館を構えた時にまでさかのぼるかもしれない。元慶七年(八八三)九月一五日の観心寺勘録縁起資財帳(観心寺文書)によると、観心かんしん(現河内長野市)古市ふるいち庄の一町五反が「壺井里」にあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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