境王子跡(読み)さかいおうじあと

日本歴史地名大系 「境王子跡」の解説

境王子跡
さかいおうじあと

[現在地名]堺市北田出井町三丁

通称王子おうじうえにあったとされる熊野九十九王子の一。建仁元年(一二〇一)の「後鳥羽院熊野御幸記」一〇月六日の記事に「次参境王子、次第又如例、次於境有御禊田中也、南向」とみえ、住吉社(現住吉区)に参詣奉楽後、当王子に詣で、付近で禊をしていることが知られる。また「四辻殿御記」(「民経記」所収)によると承元四年(一二一〇)四月二二日、修明門院が当王子に参詣しているが、同書には「堺王子」とみえる。なおこれより前「為房卿記」永保元年(一〇八一)九月二二日条に為房一行が住吉社奉幣後「和泉堺之小堂」に着いているが、当王子近辺の宿所をさすか。ちなみに応永三四年(一四二七)京都住心院実意の記した「熊野詣日記」九月二一日条に「御所さま住吉の浦にて、例のことく片箱御賞翫、予さかひの道場の前ニて入御をまちにて供奉」とみえる「さかひの道場」との関連も考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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