地域主権(読み)ちいきしゅけん

百科事典マイペディア 「地域主権」の意味・わかりやすい解説

地域主権【ちいきしゅけん】

地域のことは地域の住民が決定する,という主張で,地域分権,地方自治の主張とも重なる。主権とは本来国家の統治権を意味する概念で,日本国憲法では国民にあると定められ,内閣総理大臣は国民から統治権を付託されている。「地域主権」は,こうした主権概念そのものの変更の主張ではなく,中央政府が持つ,財政など行政権限の一部を,都道府県,市町村等に移管して,柔軟な統治を行うことが必要という考えを指している。日本の場合,明治以来150年にわたって,強固な中央集権の体制が続いているため,近年さまざまな弊害が指摘され,地域主権もしくは地方分権の必要性が問題となっている。ただし,「地域」あるいは「地方」の行政単位が現行のままで良いのかどうかという問題もあり,地域主権の主張の内容も,論者によって大きく異なっている。2009年9月に発足した鳩山由紀夫内閣では,内閣府に地域主権戦略会議を設置,国と地方の権限のあり方について,改革の方向を定める議論を開始している。

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