嘉祥寺村(読み)かしようじむら

日本歴史地名大系 「嘉祥寺村」の解説

嘉祥寺村
かしようじむら

[現在地名]田尻町嘉祥寺

吉見よしみ村の北東にあり、北西は大阪湾に臨む。村名は当地が山城国深草ふかくさ(現京都市伏見区)にあった仁明天皇の菩提寺嘉祥寺領であったことにちなむとも(泉州志)、また当地に往古あった三論宗の嘉祥寺にちなむともいう(大阪府全志)。当地の嘉祥寺については、真光しんこう寺所蔵の宝暦年間(一七五一―六四)改鋳の古鐘銘(扶桑鐘銘集)に「延元丙子二月二十五日 光明山法泉院嘉祥寺源秀法印拝撰」とあった。真光寺の寺伝によると嘉祥寺は同寺の前身と伝える。天正五年(一五七七)と思われる九月二六日の本願寺顕如書状(妙慶寺旧蔵文書)によると、織田信長の紀州攻撃に際して諸浦警固衆中宛に戦闘準備を命じているが、紀伊雑賀さいかなどと並んで嘉祥寺がみえ、当時有力な本願寺門徒団があったと考えられる。真光寺はその中心であったか。なお、紀伊国伝法院重書案(醍醐寺文書)に、信達しんだち(現泉南市)内に成立した「三方加納」の一つとして「嘉祥寺加納」がみえ、また、応永七年(一四〇〇)三月三一日の足利義持御教書(実相院并東寺宝菩提院文書)に「嘉祥寺三綱等申、和泉国日根庄事」とみえ、日根ひね(現泉佐野市)の中に成立した嘉祥寺領が横領されていることが知られるが、これら嘉祥寺は当地にあった嘉祥寺でなく山城深草の嘉祥寺と考えたほうが妥当か。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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