問答契約(読み)もんどうけいやく(英語表記)stipulatio

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「問答契約」の意味・わかりやすい解説

問答契約
もんどうけいやく
stipulatio

当事者双方の言語による方式と,それに基づく合意によって成立するローマ法上の契約の一形式。要約者 (債権者) が,たとえば「私に 100金を与えることを誓約するか」 spondesne centum dare?と質問を発すると,諾約者 (債務者) は「私は誓約する」 spondeo.という回答を肯定的に行うというように,質問と回答の基本動詞が同一語から成る問答体即座にかわされ,これによって要約者は債権を取得し,諾約者は債務を負担した。債務を負うのは,諾約者のみであるから,厳格に片務契約である。したがって,当事者双方の履行を要する有償契約の場合は,2つの問答契約を必要とした。問答契約は,諾約者がなにゆえに諾約するかという原因とは独立に成立した。したがって,抽象的であり,その内容も無限に変化することが可能であったがゆえに,いわば契約ではなく,契約の鋳型として財産法上ならびに身分法上の日常の種々の法律行為に多目的的に使用された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android