和平演変(読み)わへいえんぺん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和平演変」の意味・わかりやすい解説

和平演変
わへいえんぺん

1950年代にアメリカ国務長官ダレスが対社会主義国家政策を言及した際行なった主張を翻訳した中国語で,社会主義政権の崩壊戦争ではなく,第2代,第3代の指導者に期待しようというもの。 60年代以来,毛沢東はそれを平和的手段で社会主義の内部崩壊をねらう西側の陰謀証拠として,人々の西側帝国主義に対する警戒心を呼起し,思想的引締めを行うなどした。文化大革命後,西側との関係改善や対外開放政策の実施により和平演変反対のスローガンはあまり提起されなくなったが,89年6月の天安門事件後,アメリカを中心とする西側諸国は中国に対し経済制裁や政府高官訪問禁止などの措置を発動し,中国は民主化・自由化を求める民主化運動の根源が西側の思想,すなわちブルジョアジー自由化思潮にあると考え,和平演変反対を再度強調した。しかし 91年からは「改革と開放」のムードを高めようとする背景下で,中国のマス・メディアなどは和平演変反対を提起しなくなった。

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