吉祥寺(寺)(読み)きちじょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉祥寺(寺)」の意味・わかりやすい解説

吉祥寺(寺)
きちじょうじ

東京都文京区本駒込(こまごめ)にある曹洞(そうとう)宗の寺。諏訪山(すわさん)と号する。長禄(ちょうろく)年間(1457~60)太田道灌(どうかん)が江戸城築造の際、土中から「吉祥増上」の文字のある銅印を得、和田倉門内に吉祥庵(あん)を建てたのに始まる。開山は青巖周陽(せいがんしゅうよう)。1590年(天正18)徳川家康の江戸城入城で神田(かんだ)に移り、ついで1657年(明暦3)の大火で現在地に移った。1595年(文禄4)4世看栄稟達(かんえいひんたつ)のとき栴檀林(せんだんりん)とよぶ学寮を創建した。駒込移転とともに規模を拡張、元禄(げんろく)年間(1688~1704)には卍山道白(まんざんどうはく)が学寮の規則を制定、27の学舎に約1000名の学僧を収容し盛んであった。栴檀林は現在の駒沢大学の前身である。寺小姓吉三郎(きちさぶろう)と八百屋(やおや)お七(しち)の恋物語でも有名な寺である。

[平井俊榮]

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