叩上(読み)たたきあげる

精選版 日本国語大辞典 「叩上」の意味・読み・例文・類語

たたき‐あ・げる【叩上】

〘他ガ下一〙 たたきあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① たたいて高くあげる。また、たたいて高い音をだす。
太平記(14C後)一九「足のたたぬ所をば馬の頭(かしら)をたたき上(アゲ)て泳(およが)せ」
② たたいて作りあげる。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三「漆喰で叩き上げた二坪程の土間に」
財産を使い果たす。残らず金をはたきつくす。身代をつぶす。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「程なく一跡(せき)をたたきあげ、今程かの何十郎殿は都の住居もならず」
修業を積み苦労を重ねて人格技量などを立派に完成する。鍛えあげる。また、そういう努力を重ねて上の地位につく。
※老車夫(1898)〈内田魯庵〉「一度叩上(タタキア)げた根性は」
⑤ (たたく仕事をすっかり終えるの意から) 桶屋がその一生を終える。
※妙好人伝(1842‐52)三「桶屋が死ぬるとたたきあげたといふ」

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