改訂新版 世界大百科事典 「古(故)紙」の意味・わかりやすい解説
古(故)紙 (こし)
wastepaper
一度紙として市販され,印刷や加工処理などを行ったのち使用の目的を終えた紙で,古紙パルプの原料となる。古紙の種類は紙の種類と同じくらい多いが,統計上は表のように分類される。日本の古紙回収率は世界でもかなり高く(1995年で51.5%,ドイツ66.5%,オランダ65.7%,オーストリア65.3%,スウェーデン58.1%,韓国55.7%),とくに新聞紙の回収率は高く,貴重な資源として活用されている。集荷した古紙は,大量の水を加えて激しくかきまぜ,ばらばらの繊維として再びパルプ化される。古紙パルプの利用において最も問題になるのはプラスチックや樹脂などの繊維以外の異物の混入であり,除塵処理を十分に行うことが必要である。古紙パルプは板紙の重要な原料であり,白板紙の中層,裏層,ジュートライナー,特中芯など外観にさほど重きを置かない製品にはそのまま使用される。一方,中質紙,新聞用紙,トイレットペーパー,ティッシュなど白色度を要求する製品には,水洗法,フローテーション法で脱インキ処理を行い,場合によっては漂白も行って白色度を高くした古紙パルプを用いる。このような古紙パルプを用いてつくった紙は再生紙と呼ばれる。
執筆者:臼田 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報