取違(読み)とりちがえる

精選版 日本国語大辞典 「取違」の意味・読み・例文・類語

とり‐ちが・える ‥ちがへる【取違】

〘他ア下一(ハ下一)〙 とりちが・ふ 〘他ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① 取り換える。交換する。取りかわす。とりたがう。とりちがう。
※宇津保(970‐999頃)国譲上「これは、もとのをばとりちがへて、かの吹上といひける所を、とりにやりてたてまつるなめれば、いとすみよし」
② たがいちがいにする。互いに取りあう。取りかわす。
太平記(14C後)二九「諏方五郎と播州とは、手に手を取(とリ)違へ、腹掻切て臥給ふ」
③ 取りかたをまちがえる。特に、誤って他の物を手に取る。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)三「古郷へ帰るとて金を取りちがへて入物へ入て、いんだぞ」
④ まちがって解する。思いあやまる。聞きあやまる。誤解する。勘違いする。
浮世草子・好色一代女(1686)六「又上髭ありて赤みはしり天窓(あたま)はきんかんなる人有。是は大黒になりてさいなまれし寺の長老さまにあの髭なくば取違(とりチガ)ゆべし」

とり‐ちがえ ‥ちがへ【取違】

〘名〙 まちがえること。また、取りかたをまちがえること。まちがい。とりちがい。
咄本・学習院本昨日は今日の物語(1614‐24頃)「陽光院さま、御不例の時、通仙御脈御とりちがへのおり」

とり‐たが・う ‥たがふ【取違】

〘他ハ下二〙 =とりちがえる(取違)
※道信集(994頃)「しまならできくべきものをほととぎすとりたかへたるここちこそすれ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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