反屈位(読み)はんくつい(英語表記)Deflexion presentation

六訂版 家庭医学大全科 「反屈位」の解説

反屈位
はんくつい
Deflexion presentation
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 正常な分娩経過では、頭位の胎児骨盤入口部であごを引いて胸につけた屈位をとります(第一回旋)。産道に入る姿勢としては、この胎勢が児頭が最も細くなって産道をとおりやすくなります。

 胎児が逆にあごをあげた姿勢をとる場合を反屈位と呼び、分娩の進行不良の原因になることがあります。児頭の回旋の異常と反屈は組み合わさって起こることもあります。反屈の程度が強くなればなるほど、産道を児頭がとおりにくくなり、分娩が困難になります。

原因は何か

 骨盤の形態異常が原因になりますが、はっきりしないこともあります。

症状の現れ方

 分娩の進行が不良な時、反屈位になっていないかどうかを検討する必要があります。

検査と診断

 内診超音波検査、必要に応じて骨盤X線検査を行って診断します。反屈の程度により頭頂位(とうちょうい)前頭位(ぜんとうい)額位(がくい)顔位(がんい)に分類されます(図19)。

治療の方法

 経腟(けいちつ)分娩が可能かどうかを検討します。反屈位でも、骨盤が十分に広ければ経腟分娩が行える場合もあります。経腟分娩が無理と判断した場合には、帝王切開による分娩を行います。

海野 信也


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典(旧版)内の反屈位の言及

【出産】より

…小斜径は胎勢が分娩に有利な屈位の場合の児頭の縦径と考えられる。胎勢が反屈位になると前後径(眉間と後頭結節間距離11cm),大斜径(おとがいと後頭結節間距離13cm)が問題になる。児頭の大きさはX線,超音波により計測される。…

【前頭位】より

…胎児の胎勢異常の一種で,最も軽い反屈位である。胎勢とは胎児の姿勢のことで,正常胎勢の場合は,分娩にさいして,児頭の後頭部すなわち小泉門が最も先に進み,児のあごが児の胸部についている。…

※「反屈位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」