参籠起請(読み)さんろうきしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「参籠起請」の意味・わかりやすい解説

参籠起請
さんろうきしょう

鎌倉時代における証拠方法の一つ。鎌倉幕府法上、証拠方法は、証文証人、起請文(きしょうもん)という順序があり、その証文、証人のいずれでも証明できない場合に、起請文を用いることが許されたが、これが参籠起請である。ある人の事実に関する主張が真実であるか否かが証文、証人によって判断できない場合に、その者をして主張を起請文に書かせて、一定期間、神社社殿に参籠させ、その間に失、すなわち起請の失が起こるか否かによって、その言の真否を決めるものである。起請の失は、その主張の不実なことを神が示す徴憑(ちょうひょう)と考えられたものであって、鼻血が出ること、起請文を書いたのち病気になること、ネズミ衣装が食われること、などの8か条が定められていた。

石井良助

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世界大百科事典(旧版)内の参籠起請の言及

【神判】より

…例えば火神判は鉄火(灼熱した鉄棒を握らせる),神水神判は神水起請(しんすいきしよう),沸油神判は盟神探湯(くかたち),湯起請(熱湯の中の石をとらせる)が類似のものであり,また抽籤神判にあたる鬮(くじ)とりもしばしば行われた。日本で行われた神判としては,このほか,参籠起請(2日,3日または7日,14日などあらかじめ決められた日数を社頭に参籠させる),村起請(多数の村人をいっせいに参籠させることか),落書(らくしよ)起請(無記名の落書で犯罪者を投票させる)などをあげることができる。このうち落書起請については,犯人捜査の手段にすぎず神判とはいえないとする説もあるが,票がはいること自体神意とされたことを考えれば,やはり神判の一つとみなすべきである。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」