卵管閉塞(読み)らんかんへいそく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「卵管閉塞」の意味・わかりやすい解説

卵管閉塞
らんかんへいそく

卵管片方または両方の内腔(ないくう)が閉塞して通過性が失われている状態。卵管閉鎖ともいう。女性不妊症の原因の一つである。原因としては卵管摘除のほか、膣(ちつ)から侵入したクラミジアなどの細菌による卵管炎子宮内膜症などの炎症、卵管水腫などがあげられるが、原因不明の場合もある。子宮卵管造影検査により閉塞を確認した場合は、通過性を回復させるためにレーザーメスなどで切開する卵管開口術などが行われてきた。また、子宮口からカテーテルを挿入して生理食塩水や造影剤を注入し、液の圧力で卵管を開いて貯留粘液を排出させる通水治療(卵管通水法)や、閉塞した卵管に卵管鏡カテーテルを挿入し、バルーンを膨らませて通過性を回復させる卵管鏡下卵管形成術(FT:falloposcopic tuboplasty)などが行われている。こうした治療によって卵管が開通すれば自然妊娠も期待できるようになり、次の選択肢として人工授精なども可能になる。それでもなお卵管の通過性が回復しない場合は、体外受精が選択肢となる。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例