単結晶作成法(読み)たんけっしょうさくせいほう(英語表記)growth method of single crystal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「単結晶作成法」の意味・わかりやすい解説

単結晶作成法
たんけっしょうさくせいほう
growth method of single crystal

金属は普通は多結晶組織をもつが,金属の本質的な性質 (たとえば変形機構や物理的性質の結晶方位による異方性など) を検討するために,単一の大型結晶すなわち単結晶をつくる必要がある。それには次の3つの方法がある。 (1) ブリッジマン法 先端のとがったガラスまたは石英管内の溶融金属を静かに冷却すると,先端部にまず結晶核ができる。これが自然に成長するような速度で凝固が進むように加熱部を移動させると,全体が単一の結晶となって凝固する。 (2) チョクラルスキー法 溶融金属に小さな単結晶の種子結晶を入れ,種子が成長する速度で引上げると液は種子結晶の方位に従って凝固してゆき,単結晶に成長する。 (3) ひずみ焼鈍法 多結晶固体にわずかの変形を与えて適当な温度に加熱すると再結晶により結晶粒は粗大化する。これを繰返して最終的に単結晶を得る。再結晶法ともいう。 (1) は比較的低融点金属に用いられるが,高融点金属では (2) ,(3) によらなければならない。また金属以外の無機塩類有機化合物では,水その他の適当な溶剤飽和まで溶かしこんで種子結晶を入れ,ゆっくり濃縮して種子を単結晶に成長させる方法が多く行われる。単結晶作成は実験研究上大切な技法であり,また工業的には半導体素子としてシリコンなどの単結晶が使われるので,製造技法が確立している。

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