千光寺(兵庫県)(読み)せんこうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「千光寺(兵庫県)」の意味・わかりやすい解説

千光寺(兵庫県)
せんこうじ

兵庫県洲本(すもと)市上内膳(かみないぜん)にある寺。淡路(あわじ)富士といわれる島の中央に位する最高峰先山(せんざん)の頂にある。高野山真言(こうやさんしんごん)宗の別格本山。先山清浄皇院と号する。本尊千手(せんじゅ)観世音菩薩(ぼさつ)。淡路西国(さいごく)、淡路四国、淡路十三仏の各第一番霊場。901年(延喜1)開創。縁起によれば狩人(かりゅうど)忠太が、ある日山中で猪(いのしし)を射たところ、猪は海を渡って淡路島の先山の岩窟(がんくつ)に逃げ込んだ。忠太が中をのぞくと、そこに千手観音(かんのん)が光明赫々(かくかく)として出現し、矢は観音の胸に突き刺さっていた。忠太は懺悔(ざんげ)発心し、名を寂忍(じゃくにん)と改め寺を建立し、先山千光寺と号したと伝える。本堂は七間四面の総欅(けやき)造りで、1622年(元和8)に蜂須賀家政(はちすかいえまさ)が再建したもの。境内には仁王門、三重塔、六角堂、鐘楼などがある。仁王像は運慶作と伝える。梵鐘(ぼんしょう)は弘安(こうあん)6年(1283)の銘と永正(えいしょう)16年(1519)の追銘が刻まれており、国重要文化財。

[野村全宏]


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