北欧中立主義(読み)ほくおうちゅうりつしゅぎ(英語表記)Scandinavian Neutralism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北欧中立主義」の意味・わかりやすい解説

北欧中立主義
ほくおうちゅうりつしゅぎ
Scandinavian Neutralism

近代以降の北欧諸国にみられる中立志向。スカンジナビア主義としばしば結びついてきた。北欧諸国の中立志向は,すでにナポレオン戦争の際のデンマークスウェーデンの中立宣言にみられるが,19世紀から 20世紀にかけて伝統が次第に形成され,第1次世界大戦の際にはデンマーク,ノルウェー,スウェーデンがいずれも中立の立場を貫くことに成功した。これら3国と新興独立国フィンランドは国際連盟に加入したものの,1930年代に発生した侵略に対して連盟が無力であったことからいずれも中立志向に復帰し,第2次世界大戦においては中立を宣言した。しかし,スウェーデンを除く各国は侵略や占領の対象となって戦争に巻込まれた。デンマーク,ノルウェー,スウェーデンは,戦後の 1948年に中立同盟を企てたが成功せず,安全保障政策をめぐって分裂したが,北欧均衡の現象に北欧中立主義の伝統はなお根強く生残っている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android