北国道(読み)ほつこくどう

日本歴史地名大系 「北国道」の解説

北国道
ほつこくどう

由利郡の海岸部に沿って南北に貫通する街道で、久保田くぼた(現秋田市)で羽州街道と合する。正保年間(一六四四―四八)の出羽国秋田郡久保田城画図(内閣文庫蔵)によれば、久保田の川口かわぐち渡で雄物川を渡り、南に延びる道を「此道北国道」と記している。北国道は近世初期に整備され、享保七年(一七二二)刊の「大日本道中行程細見記大全」には木曾きそ道(中山なかせん道)近江鳥居本とりいもと(現滋賀県彦根市)から北に分れる街道を「北国海道」としている。近世に由利郡内では一般に酒田さかた街道とよばれた。ただし由利郡内には古代以来秋田城へ至る海沿いの「秋田之道」(続日本紀)があり、応永(一三九四―一四二八)の頃、連歌師梵灯庵の象潟きさかた遊歴は南からこの道を旅したものであろう(梵灯庵主返答書)。この道は江戸時代に利用度がたかまり、北国道として整備されたと思われる。天保二年(一八三一)由利郡小砂川こさがわ村惣百姓連印の願書(乍恐以書付奉願上候御事)に、北国道は「南部・津軽・秋田辺より京・大坂之往還筋ニ江戸交代之武家方往来有之、御公儀御役人中様、其外本庄様・亀田様・遊行上人様都重立候御方々御通行御座候」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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