到津駅(読み)いとうづのえき

日本歴史地名大系 「到津駅」の解説

到津駅
いとうづのえき

西海道大宰府路に設けられた駅。「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条にみえ、駅馬一五疋を配備する。豊前国企救きく郡に属し、豊前国田河たがわ(現香春町域に比定)経由で大宰府に向かう駅路(小路)の分岐駅でもある。現小倉北区の到津がその遺称地。「宇佐大鏡」は到津庄の四至について「東限古駅岳并大路」と記す。東限の大路とは山陽道、古駅岳の「古駅」とはすでに廃止されていた到津駅に由来した名称と推定される。大宰府路に続く山陽道の諸駅が蕃客に備えて「瓦葺粉壁」の駅であったことから(「日本後紀」大同元年五月一四日条)、当駅を前駅の社埼もりさき(企救半島突端、現門司区に比定)から約一六キロの距離にあり、大宰府系古瓦を出土する小倉北区の屏賀坂びようがざか遺跡比定する説もあるが、この場合大宰府路における平均駅間距離の約二倍の距離となり、八幡東やはたひがし尾倉おぐら付近に比定される次駅の独見ひとみ駅に著しく近接すること、また当駅が田河駅経由で大宰府へ至る官道の分岐駅であることを考慮すると、屏賀坂遺跡から約三キロ前駅の社埼駅寄りに位置し、同じく大宰府系古瓦を出土する小倉北区の小倉城跡付近に所在した可能性が高いと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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