出社拒否症(読み)しゅっしゃきょひしょう

百科事典マイペディア 「出社拒否症」の意味・わかりやすい解説

出社拒否症【しゅっしゃきょひしょう】

身体的に病気はないが,会社に出かけることができない症状。〈出勤拒否症〉ともいう。30歳前後に多いが,近年は40歳以降の中・高年にも見られる。行かなくてはならないと頭ではわかっているが,発熱下痢倦怠(けんたい)感などが起こり,家にこもりがちになる。子どもの登校拒否大学生スチューデント・アパシー無気力,無感動)とよく似ている。 症状には二つのタイプがある。一つは,本業の仕事以外の趣味や日常生活は支障なくこなせるタイプ。スチューデント・アパシーの延長線上にあるようなもので,これを〈サラリーマン・アパシー〉と呼ぶこともある。仕事に対しては無気力,無責任,無関心,日常生活の中では無感動で,不安感や抑鬱(よくうつ)感などの精神的苦痛はあまり伴わない。もう一つは,不安神経症恐怖症境界例などに通じるようなタイプで,仕事も日常生活も混乱する。会社に対する不安が大きな原因で,登校拒否とほとんど同じ症状。 いずれのタイプも,心の中になんとなく不安を抱いているが,その不安の構造は,自信の低下,悲観的な性格,取り越し苦労,あせり,過去へのこだわり,対人恐怖などである。これらがストレスとなり,出社が憂鬱で億劫になる。また,なんらかの理由で無気力になる〈燃えつき症候群〉と呼ばれる症状もみられる。まじめで几帳面,自己犠牲的,競争心を内に秘めたタイプの人に発症しやすい。→アパシー・シンドローム

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