出港禁止法(読み)しゅっこうきんしほう(英語表記)Embargo Act

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「出港禁止法」の意味・わかりやすい解説

出港禁止法
しゅっこうきんしほう
Embargo Act

1807年アメリカ大統領 T.ジェファーソンのもとで制定されたイギリスとフランスの大西洋上の侵犯行為に対する経済的対抗措置。直接的にはイギリスの枢密院令とナポレオン1世のベルリン勅令,ミラノ勅令へのアメリカの対応で,アメリカからの輸出を海路陸路を問わず事実上禁止したもの。実際には相手国に与えた効果よりも,自国の海運業者,商人に与えた打撃のほうが大きく 14ヵ月後の 09年に廃止された。しかしこの措置に続く通商禁止法と 12年に始る対イギリス戦争が事実上アメリカ工業への保護関税の役割を果し,またヨーロッパ依存型経済から自立的国民経済への発想転換を促し,アメリカ産業革命の端緒となったことは意図しなかった効果として注目される。

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世界大百科事典(旧版)内の出港禁止法の言及

【ジェファソン】より

…合衆国領土は一挙に倍加し,太平洋岸までの発展が保障された。ナポレオン戦争時には,アメリカの中立国としての権利を守るために,〈出港禁止法〉(1807‐09)の制定・実施に努める。外国との通商に依存していた地域,とくにニューイングランドの反対などにより,期待どおりの成果はあがらなかったが,国際紛争の平和的解決手段として,その意義は認められよう。…

※「出港禁止法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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