凡・大凡(読み)おおよそ

精選版 日本国語大辞典 「凡・大凡」の意味・読み・例文・類語

おお‐よそ おほ‥【凡・大凡】

[1] 〘名〙
① 大きく一つにまとめられた全体。個々の小異を問題にせず、一まとめに把握するさま。すべて。副詞的にも用いる。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「此の大地に凡(オホヨソ)有らるる所須の百千の事業」
② (形動) 細部にこだわらずおおまかなところを把握すること。また、そのさま。あらまし。ほぼ。大体。副詞的にも用いる。
古今(905‐914)仮名序「おほよそ、むくさにわかれん事は、えあるまじき事になん」
※山椒大夫(1915)〈森鴎外〉「母は宿の主人に身の上のおほよそを、微かな燈火の下で話した」
③ (形動) 物事の程度や質が、なみひととおりであること。また、そのさま。普通。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「ひととせはいたくおほよそにこそ面白しと見え給しか」
[2] 〘副〙
大局からの判断、主張であることを示す。総じて。一般に。だいたい。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「おほよそ子うみ給へりともなくて、とかくうちして世を経たまはんに」
今昔(1120頃か)二九「凡(おほよソ)此の章家が心ばへは、人とも不思(おぼ)えぬ事共なむ多かりける」
② どう見ても間違いない判断・性質であることを示す。否定表現、否定的な語句を導くことが多い。まったく。どう見ても。
※今昔(1120頃か)三「汝法を聞むが為に来れり。〈略〉凡(おほよソ)此の功徳无量(はかりな)し」
[語誌]→「およそ(凡)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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