凌・陵(読み)りょうず

精選版 日本国語大辞典 「凌・陵」の意味・読み・例文・類語

りょう‐・ず【凌・陵】

〘他サ変〙 ひどいめにあわせる。いじめる。責めさいなむ。また、拷問する。
※観智院本三宝絵(984)中「僧二人、この尼をみてにくみて云く、汝はこれ外道なり、といひてわらひそしり、なやましれうする時に」
更級日記(1059頃)「このをのこ罪しれうぜられば、我はいかであれと」
[語誌](1)漢語「凌」「陵」に動詞「す」が付いて成立した漢語サ変動詞。
(2)挙例の「観智院本三宝絵」「更級日記」に見られる「れうず」は、平仮名文献における一種の仮名遣いで、[rjoː]の拗長音を「れう」と仮名二字で表記したもの。
(3)字音の「興(きょう)」「承(しょう)」「凌(りょう)」などと、「教(けう)」「少(せう)」「了(れう)」などとは全く別の音であったが、院政期初め頃から[kjou>kjoː][keu>kjoː]のような拗長音化の結果、発音が同じになった。平仮名文献ではそれを二字で「けう」「せう」「れう」と表記したにすぎず、この仮名遣いから語源を考えるのは不適当。なお、片仮名表記では、本来の「キヨウ」「シヨウ」「リヨウ」が圧倒的に多く見られる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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