共同漁業(読み)きょうどうぎょぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「共同漁業」の意味・わかりやすい解説

共同漁業
きょうどうぎょぎょう

一定の地先水面を共同に利用して営む漁業免許漁業漁業権漁業)の一種。一般に採藻、採貝を中心として定着性の、あるいは移動性の少ない水産動植物を採捕する前浜の漁業のことで、いわゆる沿岸漁業の中心をなすものである。採藻、採貝は磯根(いそね)漁業とも、根付(ねつけ)漁業ともよばれる。当該漁業は、地元(関係地区)の漁業者の大多数を組合員とする地区漁業協同組合(漁協)に免許される団体漁業権(もしくは入漁権)の管理下で営まれるのを基本とする。

 この共同漁業は、対象とする水産動植物の性質、採捕の形態や属性等により、第1種から第5種まで五つに区分され、それぞれに共同漁業権の対象となる漁業が漁業法第60条で定められている。

(1)第1種 藻類、貝類または農林水産大臣が指定する定着性の水産動物を目的とする漁業。

(2)第2種 「海面」のうち農林水産大臣が定めて告示する湖沼に準ずる海面以外の水面(特定海面)において、網漁具(魞(えり)・簗(やな)類を含む)を移動しないように敷設して営む漁業であって定置漁業権漁業以外のもの(「小型定置漁業」「固定式刺網(さしあみ)漁業」等がある)。

(3)第3種 特定海面において営む地引網漁業、地こぎ網漁業、船引網漁業(無動力)、餌(えさ)をまいてブリ等を飼いつける「飼付(かいつけ)漁業」または魚礁を築いて魚をとる「築磯(つきいそ)漁業」等。

(4)第4種 特定海面において営む(ボラクロダイ等を目的とする)「寄魚(よりうお)漁業」またはマダイ等を目的とする「鳥付(とりつき)こぎ釣漁業」。

(5)第5種 湖沼、河川、池など内水面または湖沼に準ずる海面において営む漁業であって、第1種共同漁業に掲げる以外のもの。免許を受けた内水面の漁協には、資源が枯渇しないように水産動植物の増殖の義務が課せられる。

 共同漁業制度の形態は、各地の漁村共同体における村中入会(いりあい)漁場(総有的漁場利用)が展開する近世期にその淵源(えんげん)を求めることができるが、明治期に入りこうした漁場利用関係を基礎とした専用漁業権(とくに地先水面専用漁業権)の制度として近代法的整備がなされ、戦後の漁業制度においても発展的に受け継がれてきたものである。とりわけ第1種共同漁業はヒジキテングサ、ワカメ、コンブ等の海藻採取、アサリ、アワビ、サザエやタコ採捕等多様な磯根資源・前浜資源の採捕を広く地元漁協組合員に総有的権利として保証する当該漁業の典型と目される。

 なお、当該団体漁業権は各地区漁協が制定する「漁業権行使規則」の下で組合員に行使させるものであり、その内容は行使の権利を有する者(組合員行使権者)の資格、ならびに漁業ごとに営むべき漁期、区域、漁業の方法等、その他営む場合において遵守すべき事項が規定され、かつ都道府県知事の認可を受けた規則でなければ効力を生じないとされる(漁業法106条)。

[廣吉勝治・工藤貴史 2022年8月18日]

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