六因(読み)ろくいん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六因」の意味・わかりやすい解説

六因
ろくいん

仏教用語。倶舎宗でいうところの有為法 (作られたものとしての事象) を生じる6種類の原因。 (1) 能作因 kāraṇa-hetu ある事象が生じるとき他の事象がそれに力を与え,あるいはそれが生じるのを妨げないとき能作因という。 (2) 倶有因 sahabhū-hetu 2つ以上の事象が同時に相依って存在するとき,それらは互いに倶有因という。 (3) 同類因 sabhāga-hetu 善が善を生じ,悪が悪を生じるように,あるものが同類の結果を生じるとき,それを同類因という。 (4) 相応因 saṁprayaktaka-hetu 倶有因のうち,特に心と心所 (心の働き) との関係を相互に相応因という。 (5) 遍行因 sarvatraga-hetu 同類因のうち特に力の強い 12の煩悩を選んで別立したもの。 (6) 異熟因 vipāka-hetu 善が楽を生じ,悪が苦を生じるように,因が性質を異にする果を生じるときそれを異熟因という。

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