公田(こうでん)(読み)こうでん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「公田(こうでん)」の意味・わかりやすい解説

公田(こうでん)
こうでん

「くでん」とも読む。

(1)律令制(りつりょうせい)下において私田に対して用いられた語。令本来の用法では、有主田(田主のある田)が私田、それ以外の無主田(その代表的なものは乗田(じょうでん))が公田であった。しかし、743年(天平15)の墾田(こんでん)永年私財法を契機として公私田概念に変化が生じ、永年私財田として認定された田が私田、それ以外の田が公田とされ、この用法が一般化した。口分田(くぶんでん)はここにおいて公田とされた。

(2)班田制廃絶後の10~11世紀前半においては、一国の土地台帳である国図に登載され、国が田租を徴収する田地を公田とよび、さらに荘園(しょうえん)制の発達した12~13世紀になると、荘園、公領を問わず、その土地台帳に正式に登録され、国衙(こくが)・領家(りょうけ)が年貢・公事(くじ)を賦課する耕地を公田と称した。

[村山光一]

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