侘茶(読み)わびちゃ

精選版 日本国語大辞典 「侘茶」の意味・読み・例文・類語

わび‐ちゃ【侘茶】

二つの話(1946)〈井伏鱒二〉「この炭焼き竈は、佗(ワ)び茶の趣向一つ

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「侘茶」の解説

侘茶
わびちゃ

不足・不満のなかに安心をみいだそうとする茶の精神。「侘」とは本来心細いこと,辛いことをさす言葉だが,中世隠遁者の間にそうした環境に安住して,質朴自然のなかに生きることを理想とする精神がうまれた。茶道もこの精神をとりいれ,武野紹鴎(じょうおう)は「慎み深く,驕(おご)らぬ様」といい,千利休は名物道具など一つももたず,修行の深い覚悟,茶の工夫をすることが侘だと説く。利休の侘茶の大成とは,それまでなかった草庵小間の茶を工夫・創案したことをいう。

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