作良郷(読み)さくらごう

日本歴史地名大系 「作良郷」の解説

作良郷
さくらごう

和名抄」高山寺本・東急本・元和古活字本に「作良」と記し、いずれも訓を欠く。郷名の初出は、「万葉集」巻三の高市連黒人の歌にみえるもので、

<資料は省略されています>

と詠まれている。「桜田」はさくらの地にある田のことで、桜は当「作良」郷にほかならない。「催馬楽」の「左久良比止さくらびと」の「左久良」を地名とみて、当郷にあてる僧契沖の説もあるが確証はない。

郷域について、「大日本地名辞書」は、旧桜村を中心として、北は旧山崎やまざき村から南は旧星崎ほしざき村に及ぶ一帯である現名古屋市南区の東北部から東部一帯にあてる。「日本地理志料」は「尾張志云、作良方廃、桜(村)存、按図亘桜、野並、島田、中根、仁所諸邑、称、是故区也」と述べ、現南区の東北部から天白てんぱく区の南西部、および瑞穂みずほ区の南部を含む一帯に比定する。

作良郷
さくらごう

旧愛知郡内の熱田社領。旧さくら村はその遺称か。現桜本さくらほん町・元桜田もとさくらだ町・桜台さくらだい町辺りがその地か。鎌倉後期と推定される熱田社領新別納郷并当役勤仕要郷注文案(猿投神社文書)に「作良郷七十六丁一反三百歩」とみえ、同時期の宗範申状案(同文書)に「一、作良郷并御幣田等、有限社役対捍之条、太不可然、任先例早可致其沙汰之由、可被仰下、且自社家可相催也」とあって、七六町余の規模をもつ社領ではあったが、この頃すでに社役は滞りがちであった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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