桜田(読み)さくらだ

精選版 日本国語大辞典 「桜田」の意味・読み・例文・類語

さくら‐だ【桜田】

[1] 桜の木が多く生えているところ。桜の花のたくさん咲いているところ。《季・春》
夫木(1310頃)五「山風の色吹きおろすさくら田の苗代水を花にせきつつ〈藤原道家〉」
[2] 武蔵国荏原郡桜田郷。現在の東京都千代田区霞が関一帯にあたる。

さくらだ【桜田】

(「さくらた」とも) 姓氏一つ

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デジタル大辞泉 「桜田」の意味・読み・例文・類語

さくらだ【桜田】

姓氏の一。
[補説]「桜田」姓の人物
桜田一郎さくらだいちろう
桜田治助さくらだじすけ
桜田常久さくらだつねひさ

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日本歴史地名大系 「桜田」の解説

桜田
さくらだ

和名抄」所載の荏原えばら郡桜田郷を継承する中世の郷。芝・麻布一帯から旧江戸城(桜田門付近)にかけて連なる台地上に位置したと思われる。中世には豊島郡に含まれ、鎌倉時代に桜田を名字とする北条氏の一流が存在し当地を領していたとする説もあるが、確証はない。応永二七年(一四二〇)五月九日の旦那願文案(熊野那智大社文書)に武蔵国江戸書立として「さくらたとの」がみえ、江戸氏の一流がここに根拠を構えていたことが知られるが、同三〇年江戸憲重は「豊島郡桜田郷」内の土地を沽却している(同年一一月二一日「大石有秀打渡状」牛込三郎氏所蔵江戸文書)

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改訂新版 世界大百科事典 「桜田」の意味・わかりやすい解説

桜田 (さくらだ)

江戸の地名。その位置は江戸城の拡大や都市の整備にともない変遷したが,江戸時代後期には現在の港区西新橋1丁目付近に落ち着いた。古く《和名抄》に荏原郡桜田郷が見え,《小田原衆所領役帳》に桜田とある。1590年(天正18)徳川家康が入国したころは霞ヶ関辺にあった桜田村が外堀端に移され,伏見町,善右衛門町,久保町,太左衛門町,備前町鍛冶町,和泉町の外桜田七ヵ町が成立した。やはり江戸初期に幸橋門外に設けられた兼房町を合わせた8町は1794年(寛政6)類焼して火除地となり南隣に移転した。堀端の火除地にはのちに大的場や馬場,厩ができた。町域の周囲は臼杵藩稲葉家,小野藩一柳家,一関藩田村家の上屋敷をはじめほとんどが武家地で,愛宕下大名小路,佐久間小路,神保小路(田村小路)などの地名が生まれた。1827年(文政10)8町の総戸数906(地主・家持24,地守・家守97,地借102,店借617,明店66)であり,幕末の資料によれば当地域に多い問屋商人の業種は人宿,六組飛脚問屋などである。1932年ほとんどが芝区田村町に編入された。現在では桜田門と,桜田門から五反田に至る桜田通りにその名を残すにすぎない。桜田門は,内桜田門桔梗門)に対し正式には外桜田門といい,桜田門外の変で知られる。桜田門に面して1931年この地に移った警視庁がある。
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