佐介ヶ谷(読み)さすけがやつ

日本歴史地名大系 「佐介ヶ谷」の解説

佐介ヶ谷
さすけがやつ

鎌倉駅の西方銭洗ぜにあらい弁天(宇賀福神社)佐助さすけ稲荷社などがあるほぼ南北に広がる大きな谷で、西にしヶ谷・法性寺ほうしようじヶ谷・鍛冶かじヶ谷などの支谷がある。「風土記稿」によればおうぎやつ村に属し、大町おおまち村に接した入会の地で、天狗堂・東楽堂・西楽堂・屋形・木部ヶ谷・貉尾・舞台・御所入・寺ノ内・七曲などの地名があったという。鎌倉市の公図でも佐助は扇ヶ谷と大町とに分れる。谷名の由来は上総介・三浦介・常陸介という三介屋敷があったから(鎌倉志、玉舟和尚鎌倉記)とか、佐助稲荷社の神霊が翁の姿にやつし、頼朝(佐殿)挙兵を勧めて助けた稲荷社が古くからあったからともいうが(同社伝)未詳

吾妻鏡」寛元四年(一二四六)六月二七日条に将軍頼経が追放されて帰洛する際に、幕府から北条時盛の「佐介第」に移ったとあり、翌宝治元年一月三〇日条には亭の後山に光りものが飛行したことなどが記され、建長四年(一二五二)三月二一日条には将軍頼嗣が追放される際に、また文永三年(一二六六)七月四日条には宗尊親王の帰洛の際にも同じく時盛亭に入ったことなどがみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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