伝送制御手順(読み)でんそうせいぎょてじゅん(英語表記)transmission control procedure

改訂新版 世界大百科事典 「伝送制御手順」の意味・わかりやすい解説

伝送制御手順 (でんそうせいぎょてじゅん)
transmission control procedure

データ通信において,特定2点間でデータを誤りなく伝送するやり方をデータ伝送制御手順と呼ぶ。2点間で伝送されるべきデータは通常バッファと呼ばれる一時記憶装置に準備され,相手のバッファに送出される。このためデータはあらかじめ定められた長さのブロックにまとめられて送られるのがふつうである。伝送の途中に誤りが生ずると,ブロック全体を再送して誤りを回復する。このためには,ブロックごとに誤りを検査するブロックチェック符号がつけられる。送信側のバッファの内容はブロックが誤りなく送達されたことが確認されるまで保存される。これを誤り制御と呼ぶ。受信側のバッファの内容は送達されたデータが出力装置に送られるなどの方法で利用された後に消去される。送信側は送信を開始する前に相手の受信バッファの空きを確認し,受信バッファがふさがっているときには送信側はデータの送出を止める。これによって,受信側のデータ利用速度に整合した速度でデータの送信が行われるようになる。このようにデータの流れの速度を制御することをフロー制御と呼ぶ。誤り制御,フロー制御などによって,正しいデータを伝送するためには送信側と受信側の間でデータのやりとりに関する規約が必要であり,データ伝送制御手順はこのための方法を規定するものである。

 伝送制御手順としては,文字データを伝送することを主とする基本型伝送制御手順と,任意のビットパターンを高能率で伝送するハイレベル伝送制御手順HDLC(high level data link controlの略)とが代表的である。
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