日本大百科全書(ニッポニカ) 「井上智勇」の意味・わかりやすい解説
井上智勇
いのうえちゆう
(1906―1984)
歴史学者。兵庫県生まれ。京都帝国大学文学部史学科卒業。第三高等学校教授を経て、1943年(昭和18)京大助教授、西洋古代・中世史を担当、48年(昭和23)文学博士、教授に昇進。西ドイツ留学。評議員、文学部長などを歴任し、70年退官。その後も奈良教育大学長などを務める。その歴史学は京都学派哲学の影響下に形成され、思弁哲学的傾向が強く、宗教(キリスト教、仏教)にも関心が及ぶが、学位論文は『ローマ経済史研究』(1948)であった。その他の著書『プラトンの国家論』(1942)、『地中海世界史』(1947)、『初期キリスト教とローマ帝国』(1973)などがある。
[藤縄謙三]