二硫酸(塩)(読み)ニリュウサンエン

化学辞典 第2版 「二硫酸(塩)」の解説

二硫酸(塩)
ニリュウサンエン
disulfuric acid(disulfate)

硫酸(塩)は学術用語.正式な酸命名法のμ-オキソ-ヘキサオキソ二硫酸の略名.ピロ硫酸(塩)(pyrosulfuric acid, pyrosulfate)ともいう.
酸:H2S2O7(178.14).発煙硫酸を0 ℃ 以下に冷却するか,硫酸に計算量のSO3を加えると得られる.無色結晶.市販品は微黄色のものもある.密度1.89 g cm-3.融点35 ℃.空気中で発煙する.潮解性で,水を加えると音を発して発熱し,硫酸になる.スルホン化剤,酸化剤などに用いられる.[CAS 7783-905-3] 
塩:M2S2O7アルカリ金属,アルカリ土類金属,NH4などの塩が得られている.MHSO4加熱,M2SO4と熱濃硫酸との反応,Mの正塩と計算量のSO3の反応などで得られる.[O3S-O-SO3]2- を含む.イオンは,2個の四面体型のSO4が1個のO原子を共有して結合した形.S-O約1.44 Å(末端),1.64 Å(架橋).∠O-S-O約104°(四面体内),∠S-O-S約124°.多くは吸湿性である.水に易溶.水溶液中では,

S2O72- + H2O → 2HSO4

のように分解する.アルカリ金属塩は加熱するとSO3を放出して硫酸塩になるが,Ag塩は加熱溶融できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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