中空糸膜(読み)チュウクウシマク(英語表記)hollow fiber membrane

デジタル大辞泉 「中空糸膜」の意味・読み・例文・類語

ちゅうくうし‐まく【中空糸膜】

濾過ろか機能をもつ合成樹脂製の中空繊維。ストロー状の繊維壁面に無数の超微細孔があり、圧力をかけた水を流すと濾過された水が出てくる。家庭用浄水器浄水場に用いられるほか、中東諸国の海水淡水化プラントなど大規模水処理システムにも採用されている。医療分野では、人工透析血液を濾過するダイアライザーなどに使用される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中空糸膜」の意味・わかりやすい解説

中空糸膜
ちゅうくうしまく
hollow fiber membrane

マカロニ状の繊維いわゆる中空糸に分離膜としての機能を持たせたものをいう。この繊維は中心の空間部分とそれを取り囲む壁の部分とから成り,壁の部分を分離膜として利用する。内径は 100~400μm,膜厚は数μmから 200μm程度である。膜を装置に組み込んだとき,同一体積中で膜として利用できる面積が,シート状の膜 (平膜) に比べてきわめて大きい。したがって膜を利用した装置がきわめてコンパクトになる。最近,多孔質膜と活性炭を組み合わせた家庭用の浄水器が開発されたが,これも膜部分が多孔質から成る中空糸膜が開発されたからである。このほか人工腎臓などに使用されている人工透析膜,医療用無菌水製造などに使用されている限外ろ過膜,超純水の製造や海水の淡水化などに使用されている逆浸透膜,人工心肺や気体分離などに使用されている気体分離膜として応用の範囲を広げている。

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