並に・并に(読み)ならびに

精選版 日本国語大辞典 「並に・并に」の意味・読み・例文・類語

ならび‐に【並に・并に】

(動詞「ならぶ(並)」の連用形に、助詞「に」の付いてできたもの)
[1] 〘副〙 前に挙げた事柄を総括して述べる時に用いる。ともに。すべて。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「叢林果樹並(ナラビに)(〈別訓〉ともに)滋(しげ)く栄え」
[2] 〘接続〙 前の事柄と後の事柄とが並列の関係にあることを示す。また。および。
※栄花(1028‐92頃)もとのしづく「皇太后宮ならひに一品宮の御息災を祈り奉り」
※どちりなきりしたん(一六〇〇年版)(1600)六「御あるじぜずきりしと、ならびにべあとたち」
[補注](1)「並」字の訓として生じたものであるが、後に、原義の異なる「并」字がこれと混同された結果、古来「あはせて」と読まれていた「并」字も「ならびに」の訓を持つに至った。「并」字に対して「ならびに」の訓が広く見られるようになってくるのは、一一世紀に入ってからのようである。
(2)現代の法令用語では、同じ程度の事柄が並列される場合には「および」を用い、大小の段階のある事柄が並列される場合には、小さいものに「および」、大きいものに「ならびに」を用いる。

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