与助尾根遺跡(読み)よすけおねいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「与助尾根遺跡」の意味・わかりやすい解説

与助尾根遺跡
よすけおねいせき

長野県茅野市豊平東獄に所在する縄文時代中期の遺跡。 1946~52年にかけて行なわれた発掘によって,竪穴住居址 28,石囲い炉址1,小竪穴4が検出されている。住居址は台地の南側斜面に東西 120mにわたって緩やかな弧状に分布する。出土した遺物には縄文時代中期後半に位置づけられる曽利 II~V式土器や土偶,石棒,石鏃 (せきぞく) ,磨製石斧 (せきふ) などがある。比較的規模も小さくまとまっていたために,住居址分布の全容がほぼ解明され,縄文時代の集落研究の出発点となった。また住居址からは石壇,埋甕,土偶,石棒などが発見され,隣接する尖石遺跡などとともに縄文時代の信仰や社会構造の研究の端緒となり,学史的にも重要な遺跡といえる。現在では約 4000m2が市有地化され,住居址のうち4軒が復元されており,竪穴址とともに文化財学習の場として活用されている。

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世界大百科事典(旧版)内の与助尾根遺跡の言及

【尖石遺跡】より

…日本における原始集落研究のさきがけをなした学史的にも重要な遺跡で,52年には国の特別史跡に指定された。尖石遺跡と浅い沢一つへだてた台地上にある与助尾根遺跡は,終戦後の47年から本格的に発掘されて,台地上にあった28ヵ所の竪穴住居址が全掘され,縄文中期の集落構成を研究するための良好な材料を提供した。なお80年には尖石,与助尾根両遺跡に接して茅野市尖石考古館が新築開館し,尖石遺跡の莫大な発掘品や付近一帯のすぐれた考古資料を豊富に収蔵,陳列している。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」