一霞(読み)ヒトカスミ

デジタル大辞泉 「一霞」の意味・読み・例文・類語

ひと‐かすみ【一×霞】

[名]ひとすじの霞。また、一面の霞。
明石潟あかしがたおき行く舟もかつ消えて―なる波の上かな」〈夫木・二〉
[副]
程度が深まるさま。ひとしお。
「今―心細うあはれにて」〈増鏡久米のさら山〉
見渡す限りに広いさま。
「あのの口から向かうの松まで―譲りし上田」〈浄・振袖始

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精選版 日本国語大辞典 「一霞」の意味・読み・例文・類語

ひと‐かすみ【一霞】

〘名〙
① ひとすじの霞。一条の霞。《季・春》
※夫木(1310頃)二「あかしがたおき行舟もかつきえてひとかすみなる波の上かな〈藤原為家〉」
② 程度が一層深まること。ひとしお。
※新撰六帖(1244頃)一「ちかのうらにやくしほ煙春は又ひとかすみにも成にけるかな〈藤原知家〉」
③ 見渡す限りの広い土地。
※浄瑠璃・日本振袖始(1718)三「あの樋の口からむかふの松迄一霞ゆづりし上田」

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