一酸化窒素の生理作用(読み)イッサンカチッソノセイリサヨウ

化学辞典 第2版 「一酸化窒素の生理作用」の解説

一酸化窒素の生理作用
イッサンカチッソノセイリサヨウ
physiological activity of nitrogen monoxide

生体内では酵素によってNO(厳密には短寿命のNO)がつくられ,強力な血管弛緩因子としてはたらいている.L-アルギニンと O2 からNO合成酵素によって血管内皮細胞でつくられたNOは,拡散によって近傍の血管平滑筋細胞に作用し,細胞内の可溶性グアニルサイクレースを活性化してサイクリックGMP(cGMP)濃度を上昇させる.cGMPは血管平滑筋を弛緩させる.NOの標的である可溶性グアニルサイクレースはヘムタンパク質で,このヘムにNOが配位することにより活性化される.エンドトキシンショックによる血圧低下は,NOの過剰生産による血管拡張が原因である.ペニスのぼっ起もNO生産とそれに続くcGMP濃度の上昇に依存している.逆にバイアグラなどの薬によってcGMP分解酵素(ホスホジエステラーゼ)を阻害することにより,ペニスをぼっ起させることもできる.[CAS 10102-43-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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