一般交換[婚姻](読み)いっぱんこうかん[こんいん](英語表記)generalized exchange

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一般交換[婚姻]」の意味・わかりやすい解説

一般交換[婚姻]
いっぱんこうかん[こんいん]
generalized exchange

フランスの人類学者 C.レヴィ=ストロースは,婚姻を女性を媒介とした1つの交換の体系と考え,世界各地のイトコ婚に基づいて,その基本婚姻体系として一般交換と限定交換の2つの分類を設けた。一般交換は,理論的には,3つ以上の外婚集団 (自分の所属する集団以外の成員と結婚する集団) から成り,それぞれの集団が一方的に相手の集団に嫁を提供し,自らの集団は一方的に他の集団から嫁を提供されることで,女性が一方向に循環する形式を取る。その一方で,逆方向に財の循環がみられる。この形式は,女性の循環範囲が限定されないために,しばしば大規模な円環を成す強固な統合体を形成する。このような婚姻形式は,東南アジアや北インドに数多くみられる。そのなかでも,特にインドネシアのスマトラ島中部に住むトババタック族の母方交叉イトコ婚 (交叉イトコとは,異性キョウダイの子供である) は,よく知られている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android