日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ローランス(Jean Paul Laurens)
ろーらんす
Jean Paul Laurens
(1838―1921)
フランスの画家。オート・ガロンヌ県のフルクボーに生まれる。パリでカバネルに学び、1863年サロンに初出品。以後毎年出品を続け、72年一等賞を獲得。91年にはアカデミー会員となり、1900年にはレジオン・ドヌール勲章を受ける。作品は中世の史実に題材を求め、アカデミックな技術でフランス歴史画の最後の大家といわれる。計算された構図、力強いデッサン、冷たい色調が特徴。アカデミー・ジュリアンの教授として多くの後進を育て、わが国からも中村不折(ふせつ)、鹿子木孟郎(かのこぎたけしろう)、満谷国四郎(みつたにくにしろう)、安井曽太郎(そうたろう)などが学んだ。代表作にパリのパンテオンの壁画『聖ジュヌエーブの死』がある。パリで没。
[染谷 滋]