ロジン(英語表記)rosin

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精選版 日本国語大辞典 「ロジン」の意味・読み・例文・類語

ロジン

〘名〙 (rosin) 松脂(まつやに)水蒸気蒸留して得られる固体。松材から抽出しても得られる。淡黄色ないし褐色の透明なガラス状塊。サイズ剤ワニス、印刷インクなどに利用。まつやに。〔万国新語大辞典(1935)〕

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デジタル大辞泉 「ロジン」の意味・読み・例文・類語

ロジン(rosin)

天然樹脂の一。松やにの主成分。松やにを水蒸気蒸留してテレビン油を除いて得られる。また松材から溶剤を用いて抽出する。淡黄色ないし褐色のガラスのような光沢のあるもろい塊。製紙用サイズワニス印刷インキなどに使用。ロージン。

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改訂新版 世界大百科事典 「ロジン」の意味・わかりやすい解説

ロジン
rosin

コロホニウムcolophonium,コロホニーcolophonyともいう。マツ属樹木の根,木部,やにから得られる無色ないし茶褐色の樹脂。松やにと呼ばれるものにはロジンをさすものが多い。とり方により次の三つがある。(1)やにに水蒸気をかけてテレビン油を除き,あとに残ったもの(ガムロジン),(2)根を細かく砕き,溶剤で抽出し,抽出物から水蒸気でテレビン油を除いたもの(ウッドロジン),(3)マツを使って紙の原料であるパルプをクラフト法でつくるとき,副産物としてうるもの(トールロジン)。こうして得たものは化学組成がかなり違うが,ロジンと呼ばれるものでは,樹脂酸がその大部分を占める。精製が不十分なときには,樹脂酸のほかに脂肪酸などを多く含む。水に溶けず,アルコール,ベンゼンに溶ける。熱をかけると100~135℃で融解する。

 樹脂酸は樹木以外の天然物からほとんどとれないため今も貴重な資源である。そのまま弦楽器の弦の滑り止めや印刷インキの増粘剤などに使われることもあるが,多くの場合,変性されて各用途に供される。最も簡単な変性の例がアルカリに溶かしたロジンセッケンで,紙に油性を与えるサイズ剤に使われる。樹脂酸をグリセリンでエステルに変化させたものは粘性を付与するために役だち,食品の添加物などに使われている。樹脂酸の化学構造には化学的に活性な二重結合がある。二重結合は樹脂酸相互,樹脂酸と他の化合物(例えばマレイン酸)との反応に役だつ。反応してできたものは,重合ロジンと呼ばれて紙のサイズ剤などになる。二重結合は樹脂酸が空気中におかれたときの不安定性の原因ともなるので,水素を添加して安定化させる。水添ロジンと呼ばれ,合成樹脂,印刷インキなどへの添加剤に使われる。

 樹脂酸は多くの化合物の総称で,アビエチン酸,レボピマール酸,パルストリン酸などよりなる。ロジンでのこれらの割合は生産樹種や生産方法により異なる。このためロジンは最終使用目的にあうように原料別に仕分けられる。ガムロジンなどの名称はそのために役だつ。


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロジン」の意味・わかりやすい解説

ロジン
ろじん
rosin

天然樹脂の一種で、松脂(まつやに)とよばれるものにはロジンが多い。マツの樹皮からとったバルサム(生(なま)松脂のテレビン油。テレピン油ともいう)を水蒸気蒸留してまず15~20%のテレビン油を除き、残りの水分を蒸発させ、溶融して得られた樹脂である。主成分はC20H30O2のアビエチン酸類やピマル酸類などの混合物である。もろく耐熱性はよくないが安価のため、ワニス、接着剤、ベルトの滑り止め、洗濯せっけんの配合剤、紙のサイジング剤その他に広く使われている。

[垣内 弘]

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百科事典マイペディア 「ロジン」の意味・わかりやすい解説

ロジン

松脂(まつやに)の主成分。アビエチン酸C2(/0)H3(/0)O2などの樹脂酸を主成分とする樹脂の総称。松脂を水蒸気蒸留してテレビン油を除く(ガムロジン)か,またはマツ材,マツの切株から溶剤抽出する(ウッドロジン)か,マツ材からクラフト法でパルプをつくるときの副産物(トールロジン)として得られる。淡黄〜褐色透明なもろい固体。100〜135℃で融解,有機溶剤に可溶。樹脂酸の用途は製紙用サイズ,ワニス,印刷インキ,絆創膏(ばんそうこう)などの基剤,ゴム軟化剤など。
→関連項目工業用セッケン(石鹸)サイズ

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化学辞典 第2版 「ロジン」の解説

ロジン
ロジン
rosin

[同義異語]コロホニウム

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