レクター(英語表記)rector

翻訳|rector

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レクター」の意味・わかりやすい解説

レクター
rector

大学や教会のある種の役職者の称号。ラテン語のレクトルに由来する。中世には教会外のある種の役職,特に大学の長に与えられた。その最古の例はボローニャ大学の場合で,ランゴバルド人の都市の長官がレクトルと呼ばれていたことがそのまま大学にも準用された。パリ大学ではそれぞれのネーションにレクトルがいたが,のちには学生団体全体の長をさすようになった。オックスフォード,ケンブリッジ両大学ではネーションの長と同義に用いられたこともあったが,現代ではオックスフォード大学のエグゼター,リンカーン両カレッジの長だけにレクターの名称が与えられている。フランス,ドイツ,イタリア (大部分) ,スペイン語・ポルトガル語使用国では,現在も大学の長の名称として用いられている。教会では,かつては一般に教会の長をさしたが,のちに国などによって用法が限定され,信教の世話をゆだねられた司祭 (ポーランド,スペイン) ,十分の一税を保有する教区の司祭 (イングランド) ,教区をまかせられているアメリカ聖公会の牧師 (アメリカ) などをさすようになった。カトリックの大学や神学校では,アメリカを除き,学長の称号として用いられている。

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世界大百科事典(旧版)内のレクターの言及

【教区】より

…イングランドは約1万3000の教区から構成されている。教区とは,レクターrectorと呼ばれる教区司祭の司牧する領域で,通常農村部では一つの村落であり,都市部では一つの都市がその規模に応じて数教区ないし数十教区から構成されている。教区の中心,すなわち集落の中央に,墓地を含む教会用地があり,礼拝の行われる教区教会堂parish churchと牧師館rectoryとが建てられている。…

※「レクター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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