ルートウィヒ(2世)(バイエルン王)(読み)るーとうぃひ(英語表記)Ludwig Ⅱ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ルートウィヒ(2世)(バイエルン王)
るーとうぃひ
Ludwig Ⅱ
(1845―1886)

バイエルン王(在位1864~86)。幼時期をホーエンシュワンガウ城で過ごしたが、中世ドイツの伝説にひかれ、1861年作曲家ワーグナーに心酔し、即位後もその保護者となった。プロイセン・オーストリア戦争(1866)の際オーストリアに味方したが、プロイセン・フランス戦争(1870~71)ではビスマルクの巧妙な戦略にのせられ、なかば強制的にプロイセン王のドイツ皇帝推薦の役割を演じさせられた。現実の政治から逃避してロマンの世界に没入し、ノイシュバーンシュタイン城などを建築。芸術を愛好して莫大(ばくだい)な費用をかけたため、86年6月にミュンヘン大学教授グッデンB. A. von Gudden(1824―86)らの医師によって、統治不能との精神鑑定を受け、シュタルンベルク湖畔に幽閉された。同月13日グッデンとともに散歩に出たが、2人は溺死(できし)体となってみつかった。当時ミュンヘンにあった森鴎外(おうがい)は、この事件を題材に『うたかたの記』(1890)を書いた。

[進藤牧郎]


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