ヨハネス(1世)(読み)よはねす(英語表記)Johannes Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨハネス(1世)」の意味・わかりやすい解説

ヨハネス(1世)
よはねす
Johannes Ⅰ
(925―976)

ビザンティン皇帝(在位969~976)。アルメニア出身の軍人貴族で、皇帝ニケフォロス2世の妻テオファノTheophano(生没年不詳)と通じ、同帝を暗殺して即位。旧ブルガリア王国領を占拠したキエフ大公国の王スビャトスラフSvyatoslav Igorevich(?―972)を破り(971)、ドナウ川南岸の地をふたたび帝国領とした。シリア、メソポタミア地方にも遠征し、アンティオキアダマスカスなどの東地中海沿岸の重要都市を奪回した(972~975)。また、前代からの難問であった神聖ローマ皇帝オットー2世に対する婚姻政策は、姪(めい)のテオファーノ(955ころ―991)を降嫁させることによって解決し(972)、西欧世界との対決を避けた。東方遠征において勝利を収めたのち、チフスにかかり急逝した。

和田 廣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例