ヤッコササゲ
やっこささげ / 奴豇豆
[学] Vigna unguiculata (L.) Walp.
マメ科(APG分類:マメ科)の一年草。ハタササゲともいう。ササゲの類縁種で、栽培されているササゲ類中ではもっとも野生的なものとされ、ワイルド・カウピーwild cowpeaの名もある。原産地はアフリカで、タンガニーカ、キリマンジャロ山麓(さんろく)から、標高2000メートル地帯にまで野生種がある。中央アフリカで古代に栽培化され、いまは世界各地に伝播(でんぱ)している。日本へは、中国から9世紀までには伝来していた。
つるはほとんど伸びず、3小葉の葉の付けねに花序がつき、2あるいは3個の莢(さや)が物を捧(ささ)げる手のように、上向きにつく。莢は長さ約12~20センチメートル、豆は長さ7~8ミリメートルの円柱形である。豆の色は白、褐色など多様であるが白色に黒斑(こくはん)のある品種が多い。高温でよく育ち、おもに関東地方以西に栽培される。煮豆にしたり、飯と混炊する。
[星川清親 2019年11月20日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内のヤッコササゲの言及
【ササゲ(豇豆)】より
…ササゲには多くの品種がある。またヤッコササゲV.u.ssp.cylindrica (L.) Van Eseltine(=V.catjang (Burm.f.) Walp)やジュウロクササゲV.u.var.sesquipedalis (L.) Verde(=V.sesquipedalis (L.) Fruw.)などの品種群も分化しているが,それらもまとめてササゲとして扱われる。葉は3枚の小葉からなる複葉で,柄は長く,茎に互生する。…
【豆】より
…南アメリカ原産の[インゲンマメ]はアフリカやインドでも主食的に利用される重要な豆類であるし,ボリビア原産の[ラッカセイ]は,その高い脂肪含有量のため広く食用にされ,どちらも世界の各地で栽培されている。その他にも〈もやし〉に多用されるインド原産の[リョクトウ],若い豆果が野菜とされるアフリカ原産のササゲ類([ササゲ],ヤッコササゲ,ジュウロクササゲなど)や,熱帯アジア原産の[ナタマメ]やシカクマメPsophocarpus tetragonolobus(英名fourangled bean),それに加えて中央アメリカや南アメリカ原産のライマメPhaseolus lunatus(英名lima bean),[ベニバナインゲン],インド原産の[ヒヨコマメ]や[フジマメ],アフリカ原産の[キマメ]など,多数の種が栽植され,利用されている。これら熱帯系の豆類のうちのいくつかは,温帯圏での夏作作物となっており,日本でも栽培されている。…
※「ヤッコササゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」