日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
モル(Anthonis Mor)
もる
Anthonis Mor
(1520ころ―76/77)
ネーデルラントの肖像画家。ユトレヒト生まれ。モールMoorまたはモロMoroの呼び名もある。ヤン・ファン・スコレルを師とするが、画風にはフランドルおよびベネチア派の影響もみられ、モデルの正確な把握と衣装や装身具の入念な再現で知られる。アントウェルペン(アントワープ)を本拠とし、ブリュッセル、ローマ、マドリード、リスボン、ロンドンの各宮廷でも活躍した。代表作に『ユトレヒトの2人の聖堂参事会員像』(1544・ベルリン国立美術館)、『メアリー・チューダー像』(1554・プラド美術館)などがある。アントウェルペンに没。
[野村太郎]