ミニマム・アクセス(読み)みにまむあくせす(英語表記)Minimum Access

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミニマム・アクセス」の意味・わかりやすい解説

ミニマム・アクセス
みにまむあくせす
Minimum Access

最低輸入義務量。ウルグアイ・ラウンド合意では、農産物貿易に関する数量制限課徴金など国境措置は、原則として関税に置き換えることになっている。ただ、輸入量がゼロあるいは少ない農産物の場合には、関税化を一定期間猶予し、経過措置として「ミニマム・アクセス」措置をとることが認められた。日本は米の関税化を拒否して、最低輸入枠を設定、1995年の43万玄米トン(国内消費量の4%)から1998年の68万玄米トン(7.2%)まで毎年、輸入量を拡大させてきた。しかし、輸入義務量の増加ペースを抑え、ウルグアイ・ラウンドに続く次期多角的貿易交渉(新ラウンド)での農業交渉で孤立しないために1998年12月に米の関税化受け入れを決めた。関税化は1999年4月から実施され、輸入枠は1999年77万玄米トン、2000年85万玄米トンとなるところを、それぞれ、72万玄米トン、77万玄米トンに抑えることができた。ただ、高い関税率(1キログラム当り351円17銭)で事実上輸入を困難にしていることから、新ラウンド交渉では関税引き下げを迫られる可能性もある。

大井 誠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミニマム・アクセス」の意味・わかりやすい解説

ミニマム・アクセス
minimum access

ガット第 11条第2項 (c) 号 (i) に関する但書きのこと。 (c) 号 (i) は,数量制限の一般的禁止適用除外として,政府同種の国内産品の数量を制限している場合などを定めている。しかし,但書きには,「 (i) の規定に基づいて課せられる制限 (輸入数量制限) は,輸入の総計と国内生産の総計との割合を,その制限がない場合に両者の間に成立すると合理的に期待される割合より小さくするものであってはならない」とあり,輸入数量制限を実施する際であっても,少なくとも合理的に期待される輸入品シェアを維持することで,輸入品のアクセスを確保すべきとしている。これをミニマム・アクセス原則と呼んでいる。

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