ホルムストロム(英語表記)Holmström, Bengt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホルムストロム」の意味・わかりやすい解説

ホルムストロム
Holmström, Bengt

[生]1949.4.18. ヘルシンキ
フィンランドの経済学者。フルネーム Bengt Robert Holmström。ヘルシンキのスウェーデン語を話す家庭に生まれ,1972年にヘルシンキ大学数学,物理学,理論物理学統計学の学士号を,1978年にスタンフォード大学経営大学院でオペレーションズ・リサーチ博士号を取得。1979~83年ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院で経営経済学を教える。1983~94年にエール大学で経済学教授,その間同大学のエドウィン・J.バイネッケ記念経営学教授に就任した。1994年からマサチューセッツ工科大学の経済学および経営学教授を務め,1997年からは同大学ポール・A.サミュエルソン記念経済学教授。研究のほとんどを企業理論,なかでも契約とインセンティブの関係に置いた。1979年に『ベル・ジャーナル・オブ・エコノミクス』に発表した論文モラル・ハザードと観察可能性」において,最適契約とは,インセンティブと,とられた行動に関する情報をもたらしてくれるようなすべての結果とが結びついているものでなければならないと説いた。たとえば,雇用者の働きぶりをより現実的に評価するには,雇用者の給与をその企業の業界平均における相対的な株価と結びつけるべきであるとした。2016年,ホルムストロムはアメリカ合衆国の経済学者オリバー・ハートとともに契約理論への功績をたたえられ,ノーベル経済学賞(→ノーベル賞)を授与された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android