ホゲット石鍋製作遺跡(読み)ホゲットいしなべせいさくいせき

国指定史跡ガイド 「ホゲット石鍋製作遺跡」の解説

ホゲットいしなべせいさくいせき【ホゲット石鍋製作遺跡】


長崎県西海市大瀬戸町にある生産遺跡。この鍋製作遺跡は、西彼杵(にしそのぎ)半島山中にある五十数ヵ所の遺跡のなかで11ヵ所の製作所が集中した最大の規模をもつ。1981年(昭和56)に国の史跡に指定された。石鍋は平安時代末から中世の西日本に広く流布した煮たき用の厨房具で、その生産地であるこの地には、石鍋の材料を削り取った痕跡が無数に残る。第6製作所では高さ6m、延長60mの岩壁に石鍋製作の痕跡が残る。石鍋の製作は、まず滑石(かっせき)の岸壁を30~40cmの方眼に割りつけ、算盤玉(そろばんだま)状に削り込んだ後に岩壁から削り落とし、成形加工し外部に搬出する。この遺跡からは、これらの製作過程をよく読みとることができる。石鍋製作に関する文献はきわめて少なく、中世の生活と流通を考えるうえで貴重な遺跡とされている。出土品は西海市大瀬戸歴史民俗資料館に展示されている。JR佐世保線早岐(はいき)駅から車で約1時間10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報